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PROJECTS事業実績
PROJECTS
小田急線複々線事業
クライアント:小田急電鉄株式会社
関連事業:鉄道電気事業・軌道事業
プロジェクト期間:1989年~2019年3月
半世紀に及ぶ一大事業
始まりは、前回の東京オリンピック開催直後の1964年12月に代々木上原~喜多見間の立体交差・複々線化が都市計画決定したことでした。当時小田急線は沿線人口の増加に伴い、ピーク時には混雑率が200%にもなり、抜本的な輸送力の改善が必要とされていました。その改善策として東京都の都市計画事業と一体的となり計画されたのがこのプロジェクトです。
東北沢~和泉多摩川間(10.4km)の上下各2本ずつ計4本の線路に増強し、各駅停車や急行などが別の線路を走れるようにし輸送力を強化する計画でした。着工は1989年喜多見~和泉多摩川間の2.4km。計29ヶ所の踏切を廃止し、高架化や地下化などの難工事を3地区に分けて進める、計画から完成まで半世紀に及ぶ一大事業でした。
地道な作業が繋いだ悲願
複々線化の要とも言えるのが線路切替工事です。その指揮を担ったのが私たちでした。工事の大まかな流れは、まず仮線路を設置し、仮線路への切替工事を行い、次に高架橋等に本設線路を敷設、そして新しい線路への切替工事、最後に仮線路を撤去します。この工程を約30年の間に100回近く繰り返し行う非常に根気のいる業務でした。工事は日付が変わった終電後から始発までの限られた時間内で完了させなければなりません。常に分刻みの戦いを続けてきました。
100人規模の作業員を指揮し、1回の工事に切り替えられる移設部分の線路延長は70メートルほどです。途中、カーブや高低差などの難所も多くあり、同じエリアを電力・通信などの他工事と並走しながら精緻な作業を行ってきました。このような緊張した数々の場面をその都度、現場の知恵と工夫で乗り越え事業完遂に貢献してきました。
着工から約30年の年月を経て、2018年に最後の事業区間となった下北沢地区が地下化し、2019年3月に代々木上原~登戸まで複々線工事が完成し、悲願の一大事業がようやく完成しました。
箱根登山電車台風
19号災害復旧工事
クライアント:株式会社小田急箱根
関連事業:軌道事業
プロジェクト期間:2019年10月~2020年7月
観光地を襲った未曾有の事態
2019年10月、台風19号の影響により箱根登山電車は倒木・土砂崩れや陸橋の崩落、線路の流出など壊滅的な被害を受け、箱根湯本~強羅間の長期運休を余儀なくされました。箱根登山電車は、箱根を訪れる国内外の観光客を輸送するだけでなく地元の方々の生活を支える重要な路線です。
全線運休はニュースでも大きく取り上げられました。被害の全容把握には時間を要し、災害発生からしばらくは復旧目途の予測もつきませんでした。ようやく見えた再開見込みは被害から約1年後の「2020年秋頃」。運休は地域経済や沿線住民の生活に大きな影響を与え、早期の運転再開が強く望まれていました。
解決の鍵はチームワーク
工事にはいくつもの厳しい条件が重なりました。まず、箱根山中の急峻で狭隘な立地です。谷や崖に挟まれて重機が容易に入ることができない場所もあり、流出した土砂を撤去しながら慎重に資材の搬入経路を確保しました。次に、被害を受けた規模や範囲が大きく、異なる複数の工事を同時進行していたことです。鉄道は土木構造物の上に線路が敷設され、架線や信号を設置して車両を走らせることができますが、最も被害の大きかった蛇骨陸橋は、全ての施設を初めから建設し直すような大規模で難易度の高い工事でした。
私たちの軌道部隊は、土木構造物である仮設橋梁がある程度構築された後に現場に入りましたが、当時は電力・通信などの工事部隊も乗込み始めており現場調整に苦労しました。さらに工期中に完成時期の前倒しが決定され、報道発表。私たちに課された更なる条件は、圧倒的に短い作業時間でした。困難はまだ重なり、工期中には新型コロナウィルスが流行。感染予防に努めながらの作業となりました。早期復旧というひとつの目標に向け、クライアントや各作業担当会社など多くの関係者と綿密に調整を行う日々。会社の垣根を越え、技術力を結集させ、厳しい条件を乗り越えました。そして迎えた2020年7月23日、当初の予定を3ヶ月も前倒して運転再開を実現し、箱根に元気を取り戻すことができました。
大山ケーブルカー
大型リニューアル
クライアント:大山観光電鉄株式会社
関連事業:車両整備事業・軌道事業
プロジェクト期間:2014年5月~2015年10月
開業50周年、雨降り山への新たな挑戦
大山ケーブルカーは、標高差280mを駆け登る車窓からの眺望が魅力の路線で、1965年の開業以来多くの観光客の輸送を担ってきましたが、将来にわたり安全面・サービス面の充実を図るために、開業50周年に併せたリニューアルプロジェクトが発足しました。プロジェクトは橋梁補強やレール交換、駅舎や架線の更新、車両新造など複数の工事を同時に行う大規模なものです。
現場は「雨降り山」とも呼ばれる大山の山中。麓が晴れているにも関わらず、現場では雨合羽を着て作業する日も多かったです。私たちは毎日登山道を登って工事現場に向かいました。すべての工事において施工箇所が急勾配にあることに加え、資機材の搬出入経路の確保が課題になりました。橋梁補強などの土木工事では、生コンクリートの圧送ができず、費用や手間はかかるものの現地で簡易に練ることができる無収縮モルタルを採用することで、運搬課題を解決し、肝心な強度も担保しました。軌道工事では、工事用モノレールを仮設し、レールを短く分割することで運搬を進めました。ケーブルカーの線路は特殊な構造で、勾配に合わせて枕木の下にモルタルで間詰めし微妙な高さ調整を行うなど、軌道工事を熟知している作業員にも難易度の高いものでした。
「空飛ぶケーブルカー」無事に運行
このプロジェクトの中核である車両新造では、大山の多様な風景を十分に体感できるように車体前面から屋根面に連なる大型曲面ガラスを採用し、大きな展望スペースも設置。視界をさえぎらないよう電源供給用の架線を撤去しました。展望車両としてのデザインだけでなく、バリアフリー化の推進やLED照明など環境への配慮も行いました。山中への車両の運搬は、特殊なヘリコプターを活用することになりましたが、吊り下げ重量制限もクリアしなければなりません。そこで、空輸時は座席部分を取り外すなど、関係者が知恵を絞り軽量化を実現。無事に空輸作業を完了させ「空飛ぶケーブルカー」として一躍有名になりました。
真夏の厳しい暑さの中、多くの関係者と一丸となって工事を進めた結果、秋の行楽シーズンに間に合わせて大型リニューアルプロジェクトが無事竣工。多くの観光客を迎え、新たな歴史のスタートに貢献することができました。
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